さんざんまたせてごめんなさい


スズキコージ
ショッピングページ

スズキコージ先生が描きたいものを思い切り描くとこうなる、という見本のような絵本

時代、場所は不明ですが、おそらく中東あたりのとある町で、突然宙返りで登場する謎の人物ゾンドさん(性別不明)。

彼(彼女?)はおそらくボードビリアンで、極彩色の町でおそらく大道芸のようなものを披露し、おそらく大受けしたので、ゾンドさん目当てに大行列ができてしまいます。(詳しくは本書で)

初版は1993年。無国籍で、サイケデリックで、自由すぎる構図で、オール見開きで大胆に展開される、天才スズキコージ先生のマスター・ピースです。

それぞれの文章の文末が、次のページの文頭につながり、そして最終ページの文末が最初の文頭につながり、読者自身もさんざんまたされている状態が無間地獄的に続きます。

登場人物も、人物というより「ギリギリ人間」という感じなやつらばかりです。

水彩と色鉛筆で描かれた色は、彩度が低いはずなのになぜか色鮮やかに見えてしまい、それらが構築する高いテンションと、ゾクっとする緊張感と、それらと両立しないはずの不思議な緩さまで漂っているという、まるで、ビートルズの『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンド』のような、きわめてドラッグ感の高い読後感を味わうことができます。


書店の絵本売場にはマストな一冊です!

【判型】A4、上製
【頁数】32P
【発売】2006年10月