きんいろきつねのきんたちゃん
★衝撃的なラストが待ってます
とある山にすむきんいろきつねのきんたちゃんは、幼い頃に両親と兄を亡くしました。
山の仲間たちから死んだ家族のエピソードを聞かされるうちに、きんたちゃんの「家族に会いたい」という気持ちは増すばかりです。
月日は流れ、豊かな自然に囲まれていた山が、人間達の都合でゴルフ場に開発され、隠れる場所が無くなったきんたちゃんは、人間達に捕まってしまいました。
そして、とあるお金持ちの下で飼われることになり……。
(続きは本書で)
ネタバレになりますので詳しくは書きませんが、環境破壊場面を荒々しく描写したり、きんたちゃんを拾ったお金持ち家族の顔がなんとも醜悪だったりと、かこさとし先生の怒りがヒシヒシと伝わってくる一冊です。
そして、この作品はなんといっても、衝撃的なラストシーンが特筆です。
読み進めるうちに「まさか」とは思いましたが、その展開に戦慄を覚え、僕は思わず鳥肌が立ちました。
ある意味、このラストは子ども達にとってはストレート過ぎて、ショックを与えるものかもしれません。
しかし、このストレートな寓話性は、今の児童書には滅多に無いものだと思います。
底本は1971年学研刊。
絵本、児童書の黄金期に、その時代を引っ張った第一人者であるかこ先生が書かれた本作は、教育制度の矛盾による問題が溢れ返っている現代において、読まれるべき一冊であると思います。
【判型】A5変、上製
【頁数】69 頁
【発売】2005年12月